あなたと視線が絡むたび
抱きしめてほしい衝動が駆けめぐる
あなたが声を発すたび
私の名を呼んでと希(こいねが)う
あなたの脚が進むたび
必死になって追いかける
あなたに……
毒
光の世界 と 闇の世界
そう例えるならば、彼は間違うことなく光の住人
闇を背負った光の住人
決して自分と相容れる事のない存在
人は自分に無いものに憧れるというけれど
これは正しくそうなのかもしれない
例えどんなに願っても
彼と共に在ってはいけない
闇に汚れきったこの身体で
貴方まで汚すわけにはいけないから
誰よりも光がよく似合い
誰よりも闇がよく似合う
木漏れ日の中で、あなたが一瞬見せる悲しげな表情を
知っているのは私だけ
そんな些細な事でも嬉しさを感じてしまう
貴方の闇に一番近い所にいて
貴方の光に一番遠い所にいる
輝く瞳に希望や光をありありと浮かべ
瞳の奥に悲劇や闇をろうろうと浮かべる
私から最も遠く、最も近い
その事に気づいてしまったのはいつだろう
それでも私は仮面をかぶる
私の毒で貴方を殺してしまわないように
fin
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