続 May I believe you?






あたりは暗く沈み、繰り返す波の音だけが響いている。


決して広いとはいえない寝台に、動く影が2つ。



「ねぇ、センセ」
「何?」

スカーレルはうつぶせになって、行儀悪く足をばたつかせている。
レックスは、水を飲むためにベッドから起きあがっていた。

レックスは散らかった服を拾っているが、スカーレルは面倒なようだ。
だがレックスも適当にズボンと薄いシャツだけ着て、グラスの水をあおった。


「アズリアと付き合ってたの?」
「っ!!」

レックスは思わず水を噴き出した。
咳き込む様子を、スカーレルはクスクスと笑って眺めている。

「ごほっ……何突然?」
「あら、突然じゃないわよ。あんな二人の様子見てたら、誰だってそう思うわ。」

スカーレルははぶてたように、そっぽを向く。
レックスは黙ったままベッドに腰掛けた。


「……で、どうなの?」

レックスはしばらく考え込んでから、はぁとため息をついた。

「うん……付き合ってた、っていうのかもしれない……。」
「……ドウイウコト?」

う…とレックスは苦笑を浮かべる。

「なんていうか…告白とかそういうのは全然なかったんだけど……。」
「自然に、ってわけ?」
「そんなかんじかな……。」

スカーレルは大げさにため息をつく。

「なんかそれ、そこらの告白より親密そうに聞こえるわよ。」
「う……でも、そうなんだって…。」

あはは…と困ったように笑うレックスをスカーレルは自分の方に引き寄せた。

「どこまでいったの?」
「はい??」
「だからぁ、アズリアと何処までシタのかって聞いてるの!」

レックスは思わず硬直した。
何分この手の話には弱い。
スカーレルは、そんなレックスの頬を思いっきり引っ張った。

「い、痛い痛い〜!」
「だったらさっさと言いなさい!」

レックスはやっと解放された頬をさすっている。
本気で痛かった……。

「一応、最後まで……。」
「一応って何よ、一応って!全部なわけでしょ!?」

レックスは渋々と頷く。
どうもこういうスカーレルには弱い。

「けど、本当にどうしたの?」
「なんでもないわ。ちょっと気になっただけよ。」

それだけいうと、スカーレルは頭までシーツをかぶった。

「スカーレル?」
「…………。」

不審に思ったレックスは、そっとシーツを剥がそうとするがスカーレルに拒まれた。

「スカーレル……怒ってる?」
「いいえ、別に。」

スカーレルはシーツから顔を出すと、レックスとは逆の方を向いた。




本当らしくないわよね……
嫉妬なんて初めてよ




「スカーレル……?」
「何?」
「もしかして、妬いてる?」
「!」

スカーレルは内心驚きつつも静かに、そうよ、とだけ呟いた。

「ありがとう。でも、もうアズリアとは何もないから……。」

雰囲気で、苦笑しているのが伝わってくる。
アナタの表情なら見なくてもわかる。

「当たり前よ!アタシが困るじゃない、そんなこと!」
「……そうだね。」

スカーレルが振り返ると、レックスは笑いながらそう答えた。


その笑顔に偽りはなかった。


思わずこちらも笑みが浮かんでくる。

「もう、寝ましょ。明日も早いわ。」
「そうだね。」

そう言ってレックスはシーツに潜り込んだ。

「おやすみなさい、レックス。」
「うん、あ…スカーレル。」

スカーレルが不思議そうにレックスを見上げると、そのまま唇を重ねられた。


触れるだけのキス。


驚いて目を見開いたが、すぐにその温もりは離れていった。


「おやすみ、スカーレル。」
「ええ……」


そう言ってレックスはスカーレルを抱きしめた。
スカーレルは、そっと胸にもたれかかり目を閉じる。













『相変わらず、お前は女の扱い方が下手なままなんだな……』







あら、そんなことないわよ?









fin



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